NPOホタルの会
NPOホタルの会へようこそ 会からのごあいさつ ホタルの生態とその一生 ホタルと日本人・蛍狩り 支部活動のご紹介
ホタルの里づくり ホタルの飼育方法特集 活動事例のご紹介 ホタルの窓 水のしらべ方
子どもたちとともに 陸生ホタルについて ホタル写真の撮り方 南の国のホタルたち 書籍とリンク集

水のしらべ方

 

 
一生の大半(9〜10ヶ月)を、水中で暮らすホタル(ゲンジ、ヘイケとも)にとって、最大の留意点は水環境の整備です。生きもの達が安心して棲める水質を、常に、注意深く見守りましょう。
水のしらべ方〈パックテスト〉
 水質検査は、水の性質「pH」と水の汚れ「COD」・「BOD」(主に窒素化合物〉を調べるとともに、「DO」(溶存酸素量)を測ることがポイントになります。尚、濃度の単位は水の場合1g = 1ccであることから、mg/lとppmは同じになります。但し、慣例により使い分けられることがあります。

1)「pH」(ペーハー・水素イオン指数)

 「pH」は、水の酸性、中性、アルカリ性の程度を0から14までの数値で示したもので、 水素イオン濃度を表わす単位です。ご存知のようにpH 7が中性で、数値が大きくなると アルカリ性、小さくなると酸性になります。
川や湖が極端に酸性化(大気中の「CO2」二酸化炭素 を吸収した酸性雨等による)すると、水は澄んでとてもきれいに見えますが、そこは一匹の魚もいない死の水です。
反対に、強いアルカリ性を示す場合は、近くの工事で使われたセメント、コンクリート、 水ガラス或いは、鉱山、温泉等の影響も考えられます。

2)「COD」と「BOD

 水の汚れを知る上での重要な目安として、水のなかの有機物(汚染物質)の量があげられます。有機物とは、たとえば生活排水、工場排水、農薬、化学肥料、家畜のし尿等々種類が多過ぎて、個々の濃度を調べるのは困難なので、「COD」・「BOD」を測ることにより、有機物の総量として推定します。
(a)「COD」(化学的酸素要求量)
化学薬品(酸化剤)を用いて、有機物が酸化するのに必要な酸化剤の量を酸素の量に換算して表わすものです。
測定時間
水温20℃ 5分、10℃ 6分、30℃ 4分
地下水の取水口では、絶対酸素量が不足している為、「COD」は概ね高めの数値を示します。
(b)「BOD」(生物化学的酸素要求量)
微生物(バクテリア)が有機物を分解する活動のために消費した酸素の量を表わします。
この微生物検査の方が自然の環境条件に近いと考えられますが、測定値を得るのに5日 間かかるのが難点です。
水の汚れの目安 「COD」
1 〜 2 ppm
雨水・河川の上流水
2 〜 5 ppm
落葉や水草の影響もある
2 〜10 ppm
河川の下流水
20 ppm以上
下水の汚水
ヤマメ、イワナは1ppm、サケ、アユは3ppmのきれいな水にすみ、汚染につよいコイ、フナは5ppmでもすめるといわれています。

家庭で使われる食材の「COD」概略値(消費生活総合センター調べ)

品  名
COD(ppm)
しょう油
77,000
味 噌
210,000
砂 糖
690,000
紅 茶
5,800
コーヒー
5,200
缶コーヒー
62,000
緑 茶
3,400
清涼飲料水
71,000
スポーツドリンク
42,000
 
品  名
COD(ppm)
牛 乳
51,000
ヨーグルト
48,000
ビール
40,000
米のとぎ汁(1回)
3,600
米のとぎ汁(2回)
1,900
米のとぎ汁(3回)
900
カレー
840
カレー(拭き取った後)
320
 

3)「窒素化合物」

 窒素は、「窒素・リン酸・カリ」といわれるように、植物の三大栄養素のひとつです。
しかし、水の中に窒素分が過剰に入ると富栄養化となり、植物プランクトンの異常発生を引き起こします。
生物の死骸や、人間や家畜のし尿、生活排水、農薬や化学肥料などに含まれる窒素が水の中に入ると、腐敗菌によって分解されて「アンモニア」になり、酸化されて「亜硝酸性窒素」更に「硝酸性窒素」へと変化していきます。
これらを総称して「窒素化合物」と呼びます。
「亜硝酸」は、酸素がついて硝酸になったり、酸素が奪われてアンモニアになったりと、大変不安定な物質です。特に硝酸に変わる時には酸素が多量に消費されますので、水は酸欠状態になり、魚が窒息死することもあります。
水の汚れの目安 「アンモニア性窒素」
0.05ppm   湧水・河川の上流水
0.1〜0.4ppm   雨水
0.5〜5.0ppm   河川の下流水
5ppm以上   下水
水道法では、亜硝酸性窒素と硝酸性窒素の合計を10 ppm以下としています。又、硝酸性窒素が、21〜100 ppm 含んだ水を飲んだ乳幼児の中毒例も報告されています。

4)「DO」(溶存酸素量)

 自然界のきれいな水には、沢山の酸素が溶け込んでいます。逆に、有機物が多い汚れた水では、有機物を分解するために酸素が使われますので、溶存酸素の量は少なくなります。
1気圧 20℃ で,1リットルの水に最大8.84 mg/lの酸素が溶けます。
2mg/l 以下になると悪臭が出て、魚がすめなくなります。
「水質環境基準」では、河川7.5mg/l 以上、湖沼5mg/l 以上、海域2mg/l 以上とされています。

5)「川の浄化力」

 自然界の河川には、もともと水をきれいにする力が備わっています。人間が過剰に汚染物質を出さなかった時代には、自然の水は常にきれいでした。しかし、工場排水に含まれる有機溶剤や、生活排水(し尿、合成洗剤)、農薬、化学肥料等は汚れを分解してくれる微生物達を痛めつけているのです。川の水は上流から汚れはじめ、原水そのものが悲鳴を上げています。生きもの達が安心して棲める水を取り戻すためには、水の実態を私たちがもっと知り、浄化の対策をとらなければなりません。
〈自浄作用〉
川底の小石に付着した微生物・藻類による自浄作用。
河川敷に生えるアシ等水生植物による自浄作用。
川底の泥の中にも酸素を好むバクテリア(好気性バクテリア)がいて、有機物を分解し、水質を浄化しています。
 
水辺の風景
参考資料: 岡内完治著「パックテストで環境しらべ」
  河辺昌子著「やさしい水のしらべかた」

      A
   B
  

 biwako

                              琵琶湖

 

 suwako

                               諏訪湖

    suishitu


当ホームページに掲載されているあらゆる内容の無許可転載・転用を禁止します。
Copyright 2007-2011 NPOホタルの会. All rights reserved. Never reproduce or republicate without written permission.