NPOホタルの会
NPOホタルの会へようこそ 会からのごあいさつ ホタルの生態とその一生 ホタルと日本人・蛍狩り 支部活動のご紹介
ホタルの里づくり ホタルの飼育方法特集 活動事例のご紹介 ホタルの窓 水のしらべ方
子どもたちとともに 陸生ホタルについて ホタル写真の撮り方 南の国のホタルたち 書籍とリンク集

ホタルと日本人・蛍狩り

 日本には54種類のホタル(ホタル科)が生息しています。そのうち、幼虫期を水中で生活するホタルは、お馴染みの「ゲンジボタル」と「ヘイケボタル」そして「クメジマボタル」の3種類で、俗に「水生ホタル」と呼んでいます。
  残り51種類のホタルについては、「スジグロボタル」だけが幼虫期に湿地で生活する半水生で、それ以外は陸地で生活しており、「陸生ホタル」と呼んでいます。
  「陸生ホタル」は、意外と身近なホタルです。皆様の近くの雑木林や林道等で、ひょっとすると出会えるかもしれません。

 では皆様のご質問にお答えしながら、「陸生ホタル」の生態をみて参りましょう。
どんなところにすんでるの?
   種類によって生息環境が異なっていますが、人里近くの雑木林や、杉林、竹林から山地の原生林まですんでいます。明るく乾いた林ではなく、林床が湿った場所を好みます。
 
何を食べてるの?
   成虫は、ゲンジやヘイケと同様に何もたべませんが、幼虫は、主として陸生の巻貝(マイマイやキセルガイ)、ミミズなどをたべています。これらの巻貝などは、林床に落葉が積もって適度に湿っている場所に生息しています。これは、陸生ホタルの重要な生息条件となります。
 
どこで見られるの?
   ほとんどの「陸生ホタル」は、沖縄地方に生息しており、関東地方では、以下の7種類が分布しています。その内の6種類は昼光性ですが、「ヒメボタル」は夜行性で、ゲンジやヘイケと同様に、夜活動し活発に発光します。
《昼光性》
オバボタル
オオオバボタル
ムネクリイロボタル
   
       
クロマドボタル
カタモンミナミボタル
スジグロボタル
   
       
   
《夜行性》
   
   
ヒメボタル
   
       
 
いつ頃みられるの?
   成虫は、ゲンジとヘイケと同時期に見ることができます。これらのホタルは、発光してもほんのわずかで、夜はあまり活動せず、朝夕に盛んに飛びまわります。そして、雌雄のコミュニケーションは、光る代わりに、フェロモンという「匂い」で図っています。ですから、複眼や発光器は小さく、その代わり、大きくて長い触角を持っているのです。
  しかし、幼虫は、どの種類も盛んに発光します。特に
「クロマドボタル」の幼虫は、4月から11月頃まで発光の様子を観察することができます。20時頃、里山の雑木林に行くと、林道脇の下草の葉の上をシャクトリムシのように移動している幼虫に出会えるでしょう。発光は、明滅するのではなく、数十秒間光り続けています。
   当会では、福島県柳津町で「クロマドボタル」の観察会を行いました。小さな谷戸で発光し続ける無数の光は、まるで夢のような光景でした。
 
「ヒメボタル」
   ヒメボタルは「森のホタル」とも呼ばれ、明かりの全くない森の中で飛びまわります。場所によっては山頂や峠だったりと、夜間に人を寄せつけない環境にすんでいることが、彼らを守ってきたともいえます。「ヒメボタル」の生息地は、余り多くは知られていませんが、探してみれば意外と近くにすんでいるかも知れません。
   
光り方
   黄金色のフラッシュ発光で、光ながら飛ぶ様は、ゲンジやヘイケと違って、宝石をちりばめたような光景です。
 
発光時期
   地域によって様々ですが、概ね、ゲンジと同時期です。ただし、発生期間は短く、1週間から10日ほどです。
 
発光時間
   時間帯も地域によって違いがあり、20時ごろから1〜2時間活動する場所や深夜24時になってから光り始める所もあります。
 
観察の心得
   懐中電灯や携帯電話の明かり等は避けるようにしましょう。「ヒメボタル」の乱舞する光景はたいへん魅力的ですが、危険も伴いますので注意して下さい。筆者は、山奥で、イノシシやツキノワグマ遭遇したこともありました。
 
「ヤエヤマボタル」・・・・光のショー!!
 
   亜熱帯の西表島(3月下旬〜5月中旬)、石垣島(4月中旬〜5月下旬)など八重山諸島では、夏に先立って、森が眩いばかりのホタルの光で満たされる。光のショーは、一晩でわずか30分しか見られない。午後7時30分頃、森が暗くなる頃から光りはじめ、8時を過ぎると、あっという間に暗くなる。刹那の輝きだからこそ、見るものを魅了する。
 

「ヤエヤマボタル」についての文章及び写真は、写真家「米山 均」氏の提供によるものです。

米山氏のホームページは下記の通りです。
http://airacafe.com/womb/

 

 
   体長はわすか4〜5mmで、日本で一番小さなホタルといわれる。オスは点滅を繰り返し、それに呼応するようにメスはゆっくりと点滅する。
  光りの波がゆっくりとうねりながら押し寄せ、飲みこまれて光と一体になった感覚になる。だけど、その光はあっという間に消え、自分だけが真っ暗な森に取り残される。その瞬間が忘れられなくて、毎年追いかける。
 
 
 以上、陸生ホタルは、人気のあるゲンジボタルやヘイケボタルに比べて、地味であまり知られていません。研究も日が浅く、生態についてもまだ分かっていない事が多くあります。しかしながら、ゲンジやヘイケと生息環境の違いこそあれ、豊かな生態系あっての存在であることとに間違いはありません。
  これら多くのホタルたちが安心してくらせる自然環境をいつまでも保全することが、何より重要であり、私たちの使命であると思っております。
常務理事 古河義仁
ホームページ http://tokyo-hotaru.com/

ヒメボタルの生態は謎だらけ

常務理事 古河義仁 
 ヒメボタル(Luciola parvula Kiesenwetter 1874)は、ゲンジボタルやヘイケボタルと違って幼虫が陸地で生活する陸生ホタルですが、ゲンジボタルやヘイケボタルと同じLuciola属という仲間で、成虫も発光します。発光の仕方は、たいへん独特なもので、黄金色の光りを0.7〜1秒間隔にフラッシュを焚いたように発光します。メスは下翅がなく飛ぶことが出来ませんので、発光しながら飛び回るのはオスだけで、また、地上から1mくらいの高さを飛びますので、多くのヒメボタルが発光しながら飛び回る様は、森の中に星を散りばめたように幻想的です。
 さて、このヒメボタルはあまり身近な存在ではないということもあり、生態や生息環境については、まだまだ解明されていないことが多くあります。生息環境は、雑木林、竹林、ブナ林、河川敷など様々で、下草も20cm程しか生えていない所や1mくらいまでクマザサが茂っている場所もあります。東京都内では主として斜面の急な杉林ですが、秩父市では、民家の庭や何も植わっていない広い畑の上を乱舞しています。また、基本的には、夜間に人工的な明かりの届かない暗い場所に多く生息していますが、名古屋城のお堀など、近くにビルが建ち並ぶ場所にも生息してるなど、生息環境に多様性があります。
生態に関しては、ヒメボタルの幼虫は、ベッコウマイマイ(Bekkochlamys perfragilis Pilsbry, 1901)やオカチョウジガイ(Allopeas clavulinum kyoutoense)等を食べると言われていますが、富士山麓の生息地では、数千匹というヒメボタルが乱舞するにも関わらず、陸生の巻き貝が、まったく見つからないという場所もあります。つまり、いれまで言われてきたものではないものを食べていると言うことになります。(ゲンジボタルにおいても、カワニナが、まったく生息していないにも関わらず、乱舞している所もあります。)
 不思議なことは、まだまだあります。ゲンジボタルやヘイケボタルは、蛹になる時に「土繭」をつくって、その中で蛹になります。しかし、ヒメボタルの場合は、「土繭」をつくるものと、造らないで土の上で転がるように蛹になるものもいます。発生時期についても、分からないことがあります。ゲンジボタルは、ホタル前線といって、桜の開花のように、九州から除々に発生し、およそ3ヶ月をかけて青森県に達しますが、ヒメボタルは、時期が、全国的にばらばらです。発生のピークを見ると埼玉県秩父市が6月5日頃、岡山県新見市が7月10日頃、岩手県二戸市が7月15日頃、山梨県南都留郡が7月20日頃と特徴的なものがありません。更には、発光を始める時間もばらばらで、ゲンジボタル同様に19時半頃から光り始め、21時頃まで光る場所もあれば、23時を過ぎないと光らず、夜中の2時、3時まで光っているという場所もあります。
 下の2枚写真は、まったく生息環境の異なる場所のヒメボタルが乱舞する風景を写したものです。
山梨県南都留郡のヒメボタル
(写真撮影:古河義仁)
 これは、雑木林の中ですが、人が立つのがやっとのほどの急な斜面を上から下に光りながら飛んでいる様子です。林の斜面が、まるで光の川のようです。
 
埼玉県秩父市のヒメボタル
(写真撮影:古河義仁)
 この写真は、何も植わっていない畑の上を乱舞するヒメボタルで、まさに「地上の星」という言葉がぴったりの光景です。
 このように、ヒメボタルの生態や生息環境は謎が多く、調べなければならないことがたくさんある、学術的にもとても魅力的で、これまでの定説を安易に信用してはいけないことを教えてくれるホタルです。水辺ではない場所に生息し、発生期間は、わずか1週間ほどで、深夜に光る場所もあるので、もしかしたら、気づかないだけで皆さんの近所にもヒメボタルが生息しているかも知れません。もし、発見しましたらお知らせいただければ幸いです。


当ホームページに掲載されているあらゆる内容の無許可転載・転用を禁止します。
Copyright 2007-2011 NPOホタルの会. All rights reserved. Never reproduce or republicate without written permission.